社表

セックスレス・性の不一致

 煌きを失った夫婦生活・性生活は倦怠感・性の不一致と なる人が多い、新たな刺激・心地よさを付与でき避妊方 法とし用いても優れた特許取得避妊用具は既存避妊方 法の嫌な疲れを解消し、夫婦生活の性の不一致を改善 しセックスレス夫婦になるのを防いでくれますトップ画像


満足できないと嫌な感じが残るそしてセックスレスで鬱なるなど

本表紙 井上真理子 36歳/看護婦
●石川県出身。小学校の時に父親を事故で亡くし、母子家庭で育つ。18歳で上京、看護学校を経て看護婦になる。看護婦歴は15年。現在は、大学病院で主任を務める。独身
●いたって普通の女性、どちらかと言えば地味な感じだった第一印象が、話を聞いていくうちにどんどん変わっていった。恋愛のほとんどが不倫、パチンコ好き等、外見からは想像しがたい意外な一面をもっていた。
●「いろいろな面で、男の人はラクだと思う」ので、生まれ変わるなら男性がいいと話す。

◆他人に頼のるが下手

ピンクバラ今はいろんなことが面倒くさくて。「遊び尽くした」って言うか‥…う――、そうじゃないから。いろんな人間を見過ぎてねー、嫌になっちゃってるって感じ? 私が精神科に勤めてるからっていう理由じゃないと思うんです。

 看護婦って。いろんな人を見るじゃないですか。例えば。心筋梗塞(しんきんこうそく)で入院してる患者さんの所に一番最初に来た人が奥さんだと思った人が愛人で、後で奥さんが来たときにすごく困ったとか、「危篤です」って連絡しても面会になかなか来なかったりする人もいるしね。

 とにかく人間の見たく無い所ばっかり観させられますよね。中には本当に家族思いな人たちもいるんだけど、そういう人たちって少ないですよね。だから、何かね‥‥。その分「看護婦が家族の分までちゃんと見てあげなくちゃいけない」って思っちゃうし、いろんな人を見て、接して「人に合わせるのが」面倒くさくなっちゃったかな。

 だって、看護婦はその患者に合わせなくちゃいけないでしょ?
 それに、男の人って、いくら付き合いが長くても、逢っているときには多少合わせなくちゃいけないじゃない。結構、私なんかはワガママだったから、その場はわりと自分が思うようにどんどん言ってたのね。だいたい男の人は合わせてくれるんだけど、それもなんか途中で面倒くさくなっちゃうのね。「この人、なんて優柔不断なんだろう」って。

 こう、人間って最終的にはワガママで自分の思い通りにしたい、っていうのが誰でもあると思うのね。そして、その人の周りの人が合わせてやってあげてても、それはそれで面白くなくなったりするし。

 結構、人間って勝手なもんだなって思いながら、最近は男の人に限らず、人に合わせるのが面倒くさい。そのためにオシャレするのも面倒くさい、みたいな。そんな感じになっちゃった。人に疲れているんですかね。

 私って人にうまく頼れないんですよ、というか。「自分でやったほうが早いし、確実」とか思っちゃうんですよね。そこは自分の問題点だな、って解ってる。一人でなんとか背負っちゃって苦しくなっちゃうんですよ。

 こう、上手く人を使ってやってければ部下に反発もされないで済むんだろうけど、どうしても自分で動いちゃう。でも、そうなると上手く部下を育てあげられない。そういうジレンマがこの頃の私のイライラの原因かな? 「自分に能力がないのかな』っていう風にもなっちゃってる。

ストレス発散

 そういうストレス? 同僚とか仲間内で発散? しないしない。そういうことができる人も限られてると思いますよ。みんなでワイワイガヤガヤやっているように見えるかもしれないけど、病院の中の人間関係もいろいろあるからね。

 ――私の経験では元・看護婦の女性は風俗やAV業界に入るケースも多いんだけど、何か関連性はあると思う?

 そうなんだ―。多分、それは人間の汚い面をみちゃうからだと思うのね。看護婦は病気を通じて、その人の人生とかそのものが見えちゃうから、物事に対していいこととか悪いこととかがあんましなくなっちゃうのかもね。
「病気になっちゃえば誰でも一緒」じゃないけど、本当のところは・・・・わかんないけど。

風俗入りした子が精神を病だ

 ――看護婦から転職して風俗入りした子が精神を病んでしまう例を、多く見てきたんだけど・・・・。
 人って弱いじゃないですか。その弱さがどういう風に出るか、っていう所でその出し方とかね、出方、というのが精神科的な症状だと思うんですよ。結構、自分の意志というか自我というか、そういうのが弱い人は割にそういう世界に行きやすいですよね。対処の仕方が空回りしちゃって、自分が解らなくなっちゃうてる人が最近多いですよね。「鬱(うつ)」とかね。

セックスレスで鬱

 そうそう、セックスレスで鬱になった人もいるんですよ。ご主人とセックスしかコミュニケーションを取れる機会が他になかったから、って人もいるし、セックスがしたくなくて鬱になった人もいるしね―。多分、発する人とそれを受け取る人とのバランスなんだと思うんですけどね。自分はどうかって? 
 一つの対処法だとしか思っていないから、セックスって「息抜き」なんですよ。女性として必要なものだし、なかったら人生がつまらなくなると思うし。

 ?今はセックスフレンドが二人います。一人の人は、もう七、八年続いている。彼氏じゃないですね。二人とも不倫なんです。なんでかって? そのほうが私が楽なんですよ。今までそういう人が多いですね。不倫だと自分に責任がなくていいじゃないですか。

 「妻」とか。「彼女」とかだといろんな問題が出て来てストレスになるし。男の人って、私にとって一時的な楽しみの道具でしかないですよね、自分が寂しいときにいて、私のワガママを受け入れてくれればそれでいい。セックスはその「お礼」なんですよ。

 そう思っているんですけど‥‥この頃なんかね。セックスは誰としても一緒じゃないですか。う―ん、なんでそうなのにセックスをするのか? なんだろうね―。やっぱ、その時の雰囲気で。息抜き? 後は…セックスってなくちゃいけないものだとは思うんですよ、女性としても人としても。やっぱり、そういう感覚がぬけちゃうと人生面白くないと思うし。でも、必ずしもしなくてはならない、というものでもないと思うのね。

◆年上が好き

ああ、父親がいないからかな? 不倫に走るのね。私。この頃。私って不倫ばかっかりだ。最近つきあっ合う人って。その方がラク。別に奪おうって気もないし、自分の所で面倒見なくていいからね。

 ラク。やっぱり、父親のせいだろうね。しっかりしてて落ち着いていてね―、年上じゃいけなくちゃいけないし、スーツが似合う人が好きかな―。年下は絶対にダメ。合わない、私のワガママ聞いてくれないから。どれだけワガママ言っても受け入れてくれないと私はダメ。

 というと、いろいろ考えて私を受け入れてくれる人ってなると、結婚している人ってなるのね。そういう人って、だいたい家庭のしがらみとか、いろんな大変さを経験しているじゃない。私なんかにその人はそういうことを要求してこないじゃない。だから、ラク。他で苦労してくれるから。

 ずるいと、自分でもそう思う思う。
 多分私は、ずっと寂しいんだろうね。それを、その気持ちをずっと無理やり抑えつけてる。だから仕事から帰ると一番最初にテレビをつけるしね。常に音がないと嫌かな。実家にも月に何回か電話して話をするし。

寂しさを埋めるものが男の人

寂しさを埋めるものが男の人? そうですね。それもあると思う、きっとね。それの代償がセックス? それもあると思う。なんかね―、そうね。あんましセックスを好き―、とは思わないし。

 これも父親がいないからかもしれないけど、相手が怒ったりするとものすごく怖いし、ストレスになっちゃう。女ばっかりの家庭だったから、男の人がいる生活経験がないわけだ。

 お風呂から上がってもすっぽんぽんで部屋の中を歩いているのが家庭風景、かも。もしかしたら男の人に対しての恥じらいが、他の人より少ないのかもしれないね。それに、男の人に対しての気のつかい方がわからないし、「こういうことをしていいの?」っていう基準が解らないんですよ。「怖い」からどうやって接して、どうやって打ち解けたらいいか分からないだけなのね。

 父親は私が小学生の時に仕事中に事故で亡くなったんです。私たちが駆けつけたときはもう意識がなかったんですね。それからずっと母子家庭。二歳、五歳下の妹が二人いて、女ばっかりの家庭です。母親は外でしごとをして生活費を稼いでくれて、家のことは私がして。いうなれば、家では母親が「父親」で、私が「母親」の役割分担でした。

 母親は一人でずっと水商売とか、職を転々としながら再婚もせずに私たちを育ててくれて。私が看護婦になったのもそれがあるんです。昔から母親から「手に職をつけてほしい」って言われてて。

 他の選択肢もあったと思うんですけど、看護婦だと職にあぶれないじゃないですか。再就職もきくし、ね。今は看護婦不足だと言われているし、そんなに高望みしなければ必ず職にはつけるから。

 看護婦の仕事って「辛そう」ってイメージがありますけど、そんなには辛くないですよ。面白くないときは確かにありますよね。大学病院ですからね―、組織ですから。自分の思い通りになかなかいかないですよ。

 ま、でも、あんまし「トップに」なんて思っていないから。あんまし高望みしなければ、別に苦じゃない仕事ですよ。お給料もいいですし、手取りで三十何万か貰ってるかな。

 不規則なことはそんなに気にならないんだけど。大学病院だからそれなりのノルマっていうか、勉強しなければならないことがたくさんあるかな。でも、他の病院、町医者とか行くと、給料が安いのね。

 ウチの病院って給料はいい方だと思うの。だから、それだけのお金を頂いているんだったら、やることは多いのは当たり前だし、要求されるのは当たり前だと思いますよ。

 大学病院と町医者の看護婦の違いですか? 全然違いますよ。でも、入るのに試験とか、そういうのはないです。あまりそういうのは分からないけど、患者さんに対するケアとか、お世話するレベルが他と違うと思うんですよ。

 うちの母親も「未だにそんな勉強とか試験とかあるの?」って言いますよ。勉強しないで自分の中でOKが出してれば、それはそれでいいんでしょうけど、私は求められるんだったらそれに応えようと思いますね。

 それだけのお給料を頂いているのだから。でも他の人はそういう考えになかなかなれないみたいですね。特に今の若い子は。今、私は「主任」みたいな立場で仕事をしているんですけど。部下が不満ばっかり言って働かないですよ。なんでしょうね。十分なお金を頂いているのに。

 今の病院で十五年働いていますけど、いろいろなところをローテーションして、一番長くて小児科に八年ぐらい。今は精神科です。

 精神科の看護婦の仕事は別に普通ですよ。錯乱している人とか、分裂病の人がたまに一人でヘンなことブツブツ言っているくらいで。ま、目的は日常生活に戻してあげることだからね。でも、どうでしょうね。

「看護婦」としての仕事が…・例えば注射とかで治療してる人だったら、そのお手伝いがあるじゃないですか。それがあんまりないですから。最終的には何がいいのか、よくわからない、精神とか、そういうのは難しいですよ。

 う―ん。あんまり精神科の話はしたくないって感じがしますね。
 やっぱり、好きじゃないとできないと思うんですよ。看護婦という仕事にしてもそうですけど、あんまり私、精神科好きじゃないですね。小児科にいたときは楽しかったし。難しいですよ―今は。

◆十人、二十人になると、みんな同じ

 人間、どっかで息抜きが必要だと思うんですよ。だから、今の東京での生活が私にとっての息抜きなんですよ。もちろん今は仲はいいんだけど、家族がいる田舎って遠いじゃないですか。だから一人で自由に生活できる事はうれしくって嬉しくって。十八歳のときに高校を卒業して看護学校に行くために東京で一人暮らしを始めた当時は、遊びまくっちゃいましたよ。

 ヒトリ暮らしとだと酒飲みに行って朝帰りしても、男の人と付き合っても、誰にも怒られないじゃないですか。そこそこ勉強して学校に行ってれば卒業できる、って思ってましたから。遊びまくってましたよ―。ま、昔も今も警察に捕まるようなこと以外は何もしてもいいと思っていましたからね。

 セックスを初めてしたのは一人暮らしをしてから。十八のとき。その人は‥‥当時少しだけつき合った人。三十歳だったかな? 四十歳だったかな? 年は憶えていないですね―。ただ、痛いだけで、あんまりセックスっていいもんじゃないな、って思ったってことは憶えているけど。

 その人とは一回限りで終わっちゃいました。次に付き合った人と二回目になって。その間? スグだったですね。ホント。糸が切れた風船のようにフラフラしていましたよ。だって、「男の人と付き合う」っていうのがよく解らなかったから、知りたかったんですよ。それでも、ナンパとかには絶対について行かなかったですね。今もそうですけど、身元が分からない人にはついて行きたくないし、付き合いたくもないですよね。

 でもね、あの、結構ね―、二人目、三人目、とかって一番楽しかったころで。初めて嫌だったんだけど、だんだん良くなってくるじゃないですか。それぐらいで結婚しちゃえばいいんだろうけど、十人二十人とかになってくると、どれも一緒になってきちゃう。

 「どの人も同じ」っていう感覚になってきちゃうと思うんですよ。「セックスって誰としても一緒」っていうか。自分で結論付けちゃっているから余計、だと思うんですよ。受ける感覚も人とか物が違っても一緒。

 おっきい、小さいとかテクニックとかがあったとしても。セックスの相性がいいとか、悪いとかがあったとしても、「どう良かった」っていうのは一緒かな。って。この先経験人数が増えても一緒かなっていう諦めがあるかな―。

 セックスが楽しいと思ったことはありましたよ。やっぱし、好きな人といれば「抱かれたい」と思うしね、一緒にいれば欲しくなるときもあるし。特に生理の前とかは身体がしたくなるかな。それでも、どっちかというと、自分が楽しむ、というよりは、「早くイッちゃってくれないかな―」っていうそういう感覚? そっちが強いかな―。男の人がイケばそれで満足。自分がイカないでも別に。

 でもね―、ヤッてる行為自体が嫌になってくるときがあるのね。なんかね―、「そんなとこ触んないでよ!」ってなっちやう。なんか、陰部とかを触られるのが嫌なんです。舐められたくない。なんかねキスされたり、胸を触られたりするのはいいんだけど、自分でもあんまりキレイなところじゃないところじゃない、ってイメージがあるし。

 昔からヘンなところが神経質なんですよね。小さい頃はきちんとシャツをスカートの中に入れないと機嫌が悪くなってたのね。
 
唾液が自分の身体につくのが嫌。相手の陰部もあんまり好きじゃない。汚いのが嫌いなんですよ。フェラなんかすごく嫌いだったし。でも、今は好き。だって、セックスを楽しんでもらいたいし、すると男の人は早くイクし、私、男の人にはワガママし放題だけど、セックスのときは喜んで欲しいの。
 そこでは自分は奉仕してる。だから、男の人が私のところに来るんだと思うのね。

 今まで三十人ぐらいの男の人と付き合ったけど、全部時期が重なっている。多いときは五人、六人とか重なってるかな。そんなに面倒じゃないですよ。

 遠距離の人もいるし。あんまり同じ人だと飽きちゃうんですよ。ああ、その人だけ、っていうときも少しはあったかな? すぐにもう一人の人はできたけど。真面目に付き合ってますし。自分では真面目だと思いますよ。ナンパは信用できない。

 私の場合はだいたい男の人とは一回逢ったくらいじゃ、しない。何度か会って、どんな人かっていうのを知ってから付き合う付き合わない、っていうのを決めますね。一回、合コンで知り合った人も過去にはいたんだけど、何回か逢った後だったし。三、四回は逢うかな? それで自分で「あっ、エッチしていいかな?」って思った人と付き合うかな。

男選びのポイント

 男選びのポイント? そういわれると解んないね。なんだろうね―。う―ん、「その人らしさ」かな―? やっぱり、身元、じゃないけど、その人がどういう人なのか、っていうのが解らないとダメなのね。行ずりの人、ナンパとかの人に手が出ない、って言うのはそこなんだと思う。

 だから、あれなのよ。「万引きとかは犯罪でいけない」っていうのとイコールなんだと思うの。「知らない人とエッチしちゃいけない」っていうのが、自分のなかで持ってるここまでの線、っていうか。もちろんセックスだけじゃないから、ね。男の人はね。

イケなくて悩む・イケない女は不幸

――イケなくて悩むのって、どんなときですか?
「イッた振り」をするときかな。なんで自分はイケないんだろう、とか。イクともっとセックスが楽しめるんじゃないかとか。その人がもっと好きになれるんじゃないかとか、ね。う…‥ん。結構、気持ち良かったりもするんだけど。でも終わったら、「なんか嫌な感じ」が残るときってあるのね。

 満足できなかったからだと思うんだけど。そういうときって「やっぱりイケないからかな?」とかオモッチャッタリスルノネ。イケない女は不幸? 思う思う。イケないと、だってしたかいがないじゃないていうか。「女性だったら一度は結婚してみろ。子供を産んでみろ」っていうのと同じように、セックスしたらイッてみないと良さっていうのが本当に分かったことにはならないと思いますね。

 この先イケルかも? ダメだと思うな―。多分、頭でっかちだから、私は。頭で考えちゃうから、なんか、多分、解らないんだろうな。でも、もしイケたとしたら、その相手にのめり込んじゃうと思う。セックスに溺れる、ってあんまり思ったこともないけど、そうなっちゃうかもしれない。セックスって本能だからね。

 昔の彼氏の友達の彼女が言ってたことなんだけど、「イッたときは、ピンクの像が見える」とか言うの―。それをずって信じていて。でも、私には全然ピンクの像が見えないの―。雑誌とかには頭が真っ白になる、とか失神するとか書いてあるじゃない。そんなの読んでも「人はそんなに簡単に失神するもんじゃない」って私は思っているから。

 多分、それがあるから、余計にみんなイカないんだと思うの。人それぞれなのに、データがあふれてて、それと一致しないと「私、イケてない?」ってなっちゃうんだと思うのね。そんなの人それぞれ。だって「私は今のセックスで十分きもちいいし、毎回イッてるの」ってなってても、既存のデータどおりに「気絶」しなければイッことにはならないじゃない?

 どの雑誌も見ても「凄いことだ―」って書いてあるじゃないですか。だから余計に皆わかんなくなると思うのね。セックスしてて、感じ方が少しでも雑誌に書かかれていることと違ったりしたら、頭だけ急に冷静になっちゃったりしてる自分がいたりさ。そんな事ばっかり考えてて、セックスに集中できないですよね。

女のエクスタシー

 男の人はラクだと思うの。私、生まれ変わったら男になりたい、って思うのね。いろんなことで男のほうがラクだし。男の人のセックスは出してナンボでしょう。女が本当にイッてようが、演技だろうが。関係ない。結局、最後は自分のエクスタシーだから。

女性はそうじゃないからさぁ。よくね「潮吹いている!」って言われるんだけど、その感覚もよく分からないし、違うと思うの。そこで自分の中でのギャップを感じるわけだ。自分のものじゃない、というか。「イクっ」ていうも、考えちゃうからダメなんだと思うの。身体で体験する、とかそういうんじゃなくって、私は頭で分かろうとしちゃうから。

 きっとイケないのは…・ああ、それもあるかも知れない。私、どうなっちゃうのか自分で分からないから、歯止めを利かす、っていうかさぁ。それ以上怖くって踏み込めない、っていうか。楽しみだけを求めて「コミュニケーション不足」っていうのも私はあるかも知れませんね。人に疲れているのが大きいよね。

 この先、セックスがよくなる? そうですね―。今の人たちって自分の欲求が強すぎるんだと思うんですよ。セックスはイコール、相手が自分にとっての「道具」になっちゃうんじゃないかな? だからさ、風俗とかの自分のペースで、性格とか生活とかのしがらみが全くないところでしかコミュニケーションできなくなってくるかもね。

◆好きでも身体が合わない

私って、基本的に別れた人とはその後も友達の付き合いが続くのね。電話だったり、時々逢ったりもしてる。みんなセックスフレンドになってる、って言うのかな。今いる二人、ううん、三人以上、かな? 遠距離の人と都内の人といるんだけどみんな不倫。その人たちとは最初から私も割り切って付き合っている。

 きっと私がいつまでも男との人と切れないのは、そういう人たちが定期的に、思いついたように連絡をくれるからだと思うのね。その人たちもズルイんだと思うの、私が弱ったときに連絡してくるの。

 オナニーもしますよ。たまに、ですけど。自分のペースでできるからいいですよね。直接は触んないもん、私。ズボンの上とか下着の上から「こする」感じですね。月に一回か、二回かな? セックスよりは少ないですよ。オナニーではイク? 自分の想像が合ってるとすればイッてると思いますね。オナニーだと短時間で満足できる、って感じだよね。セックスよりラクだし。

「3P」

 してみたら面白い、って思うのは「3P」なんだけど。でも、実際はね‥‥。そこまですれば自分が楽しませてもらえる、自分の身体が満足できるだろう、って。でも、願望で終わるんでしょうけどね。みんなヤルことは一緒だしね―。

 私って、この先もイケることはないでしょうね。自分で結論づけちゃってますけど多分、理性が働いているうちはイケないと思いますよ。

 好きな人だったらイケる、って話? 三年前に別れた人はすんごい好きだったんですよ。でも、身体は合わなかった。それはアッチも気がついていたと思うんだけど。一緒にいるとね、自然でいいんだけど、セックスするとダメになっちゃうのね。途中で濡れないの。最初は「抱かれたい」って思って自分で濡れるんだけど、途中でダメになるのね。

 長いから、とか、そういうのじゃなくって、セックスが合わなくって。すごい好きなのよ―。その人付き合っているときに、何人か他の人とセックスしたんだけど、やっぱりその人が一番合わなかった。そこで、セックスは相手が好き、嫌い、じゃないんだな、って思いましたし。

 その人とは長く付き合ってたのもあるんだろうけど、もう、感覚が親とか、兄弟の安心感に近くなってたのね。だから、セックスの対象とは見られなくなったから。別れのときもべつに。今までもセックスがなくなっても、好きですしね。

 やっぱり、相談とかしちゃう。この先、こんなに好きになれるような人に巡り合えないだろう、って。歳も歳だし。だから結婚する気も失せた、かな。今でもその人とは付き合いがありますよ。身体の関係なくなったから、付き合っているって言わないのかな?

◆本当の自分が解らなくなっているのかもね

そう言えば、付き合うにしても自分から言ったことは無いですね。求婚されるのも多かったし、確かに私も一時期、「結婚したい!」っていうのが波のように押し寄せてきた時期はありましたよ。二十代前半は「結婚したい」って言うのが強かったかな―。

 最初は学生のとき。学校って三年間だから、二十歳のときだったかな? 三つ上のサラリーマン。私もすごく結婚したい相手だったんですけど、相手の親に猛反対されて。よく覚えていないけど、母子家庭が悪いとか、歳が若すぎるとか、とにかく、今のご時世ではナンセンスな理由で。で、その後なんかうまくいかなくて別れて。

 次は看護婦になったばかりの二十一歳のとき。同僚に求婚されて。その人とは今でも仲がいいです。私の家庭環境とかも全て理解してくれていて、私もいいかな、って思ったんだけど、話が出たときにその人のお母さんが脳こうそくで倒れちゃって。

 結婚したらお母さんを一生世話をしなくちゃいけないでしょう。だから面倒を見るのが嫌で逃げ腰になっちゃって断ったの。「苦労は自分から買うものじゃない」って。だって、本当の身内じゃない人の面倒を見るのって嫌じゃないですか。
今の仕事も、お金を貰っているからできるわけで。結婚していいけど、その人だけじゃなくって、その人の人間関係までついてくるのが嫌でね―。だって「苦労」はお金で換算できるもんじゃないでしょう。

 同僚の人の後も、サラリーマンの人と付き合ったのね。私の方から結婚したい、って思った人だったんだけど、その人のお家は公務員だったのね。それでまた私の家庭環境で反対されちゃって、あっさり辞めた。そのまた後にも好きになった人は、長崎の島出身の人とかもいたのね。結婚したかったけど、その人の家が農家だったのね。そういう家に嫁ぐのにはすごい抵抗があって断って。「農家」とか、性(しよう)に合わないんですよ。

 上手くいかなかった人って何人がいる…。うちの母親とかは「あんたはプライドが高いからだ」とか言うんだけど、う―ん。東京を出てまで田舎に行くのは、ね。せっかく得た自由なのに。それに、いわゆる「家制度」見たいのに自分が入るのが想像できない。

 私にお父さんがいないから、って言うのもあるんだろうけど、一家の大黒柱のお父さんを崇(あが)め―の、自営で家族みんなに気を遣い―の、お母さんに気を遣い―の、っていうのがものすごく抵抗があるのね。求婚されると嬉しいんだけどね―。そうやってその人の家庭事情を知って将来のことを考えた途端に冷めてきちゃうのね。

 最後に結婚したい、って思った人ですか? 三年前かな。普通のサラリーマンで七、八年付き合った人。その人には奥さんがいた人だったんですよ。別に最初からそれを知ってたからいいんですけど、世間でいう「不倫」。最初から「離婚するから」ってずっと言ってくれてたんですけど、離婚調停とかが上手くいかなくて話がこじれて、ずっとそれの繰り返しだったのね。

 そのうちにマンネリになってきて逢う回数が少なくなってくるじゃないですか。「別にいなくていいかな」って。私も職場が変わって忙しくなってきちゃったからね、科が変わったから。それでも、月に一回は電話がかかってくるかな。

 最近はモノの価値のつけ方が曲がってくるし、価値観がおかしくなってると思いますよ。セックスにしてもそうですよ。人と人の間に必ず「お金」が介在してる。哀しいけど、それがラクなんですよね。だって、ヘンな気を遣わなくって良くなるから。

 もう最近はあんまし出かけなくなっちゃったし、なんか男の人と付き合うのも面倒くさくなっちゃったから…・ここ一年ぐらい、そうかな。昔はしょっちゅう、いろんなお洋服買ってはいろんな所に出かけたんだけどね。猫飼い始めたから、家が安息の場になっちゃってる。

 外に出るのはパチンコ屋さんに行くときぐらいで。ちょっとした息抜きで時間一人で潰(つぶ)せるから、パチンコは最高にいいと思う。熱くならなければ、私はそこそこ稼ぎの範囲内、借金しない程度でしか遊んでいない。

 そういうときに制御が利くのは母親からの教えのおかげだと思っている。ローンはするな、お金は人間関係を壊すから、って。多分、母親自身がそういうので嫌な目に遭ったからそういうのを言うんじゃないかな。

人生を振り返って

――今までの自分の人生を振り返って、どう思う?
 一言で言うなら「努力」、かな。私「努力の人」だと自分で思う。うん。コツコツ勉強して努力する人だと思うの。ルーズな所もあるけれど、やっぱり人間努力すれば何とかなる、って私は思っているから。

 確かに持って生まれた素質とか多少はあるんだろうけど、でも「努力すれば報われる」っていうのが信条にして今まで来てる。男の人に努力? しないしない。面倒くさいもん。男の人は私に「合わせてくるもの」だって思っているから。私が合わせるものではない、って思っているね。合わせなきゃいけない状況になったら途端に冷めちゃうし。気を遣わない相手でも、今は面倒くさいな。

 だって、家族の前では「いい子」の演技して、患者の前では「いい看護婦」をして、その反動で男の前では「ワガママな女」で。本当の自分が解らなくなっているのかもしれないよね。だから人に疲れてる。人に会うと演技しなくちゃいけないでしょう?
つづく 愛しているという実感が欲しかった幼少期の性的虐待で性の不一致…
 酒井あゆみ
 ノンフィクション・ライター