セックスレスはごく最近の傾向ですが、もちろん節制とは根本的に異なるものです。しかし、男と女の共同生活、共棲を考えたとき、セックスレス――しないこと――もきわめて重要なことなので、そういう考え方もあるんだという知識を身につけておいていただきたいものです。

SEXの休暇 しない喜びも大きい

本表紙

SEXの休暇 しない喜びも大きい

ピンクバラ“おたく”と呼ばれる男が増えました。
 コンピュターおたく、ゲームおたくなど、仕事や趣味にはまり込んで、生身の女にはあまり興味を示しません。
 仕事もでき、給料もよく、まアはっきりいえば三高男なのだが、いざ交際を始めたうえで結婚まで考えて、どちらかというと女のほうから“いいわよ”と言ったのに…。

 セックスレスに近くて、あまりそういうことに興味をもたない新型の人類に、周囲もその扱い方にとまどっています。
 そういえば『セックスしない喜び』という本も、アメリカでは評判になりました。

 セックスレスはごく最近の傾向ですが、もちろん節制とは根本的に異なるものです。しかし、男と女の共同生活、共棲を考えたとき、セックスレス――しないこと――もきわめて重要なことなので、そういう考え方もあるんだという知識を身につけておいていただきたいものです。

 故俳優の森繁久弥さんが、
「夫婦と言うものは、どんなに激しくケンカしても、営みをもてば、何とか仲直りができるものだ。それなのに、こちらが不如意になってしまってはのう」
 と、コボしたのを聞いて、しみじみさせられたことがあります。

 不如意(フニョイ)とは、昔の言い方で、男が立たなくなる状態を、あからさまにいわず、ちょっとテレていった言い方です。
 性関係だけがふたりのキズナではなく、ときにはお互いが、我慢する時間をもって、リフレッシュするという発想もあるということです。

禁欲

 セリパシー(selibacy)は、セレベシーとも発音され、直訳すると“童貞制”ですが、ラテン語の“未婚”“独身の”という意味です。単にシングルライフ、チョンガーというのではなく、“ひとりで住んでいる”状態をいうのが語源で、それにいろいろな解釈がくっついたものです。

 禁欲=女体に触れずにいられる力=が、過大に評価されることがあります。ユダヤ教の祭司(ラビ)によれば、未開の部族はセリパシーを自己否定、自己鍛錬の修行にしたといわれます。
「それは戦いの準備だった。人間の感情のなかで、もっとも強烈な性への欲望に抵抗し、これを抑えるように鍛錬された者は、必ず優秀な戦士になる」
 と、されていました。

 性欲はすさまじいエネルギーだから、それを抑え、一気に爆発させると、殺人もいとわないほどの破壊的な力をほとばしらせます。この方法は修行僧やカルトでもよく見られるもので、処女が聖なるものとされたり、聖なる娼婦として、神殿の神のミコ扱いされたりすることもありました。

 いい意味のセリバシーは、〈性欲からいかにして注意をそらすかが重要なのでなく、性欲そのものを転換すること〉が大事なことなのです。

 恋人関係で、

「私たちSEXだけでつながっているみたい」

 と、自己嫌悪に陥ったときなど、SEXからの休暇をとって、肉体関係のなかったころの時間をもう一度取り戻すことです。これで十分にリフレッシュすると、ふたりの関係に新鮮さがよみがえります。

 これはふたりだけで黙ってやることで、うっかり他人にいうと、仲が悪くなっただけの、飽きがきただのと、中傷の的になりかねません。

 性の休暇をとったときは、日ごろやりたかったと思っていただけでできなかったこと、趣味や勉強に思い切り打ち込んでみることです。日々の生活のなかに、いままで気づかなかった新しい喜びや感激を発見できて、驚くはずです。

 SEXにやや飽きて、疲れていても、それが愛を確認する唯一の方法などと思い込んでいる、性にとりつかれたようなカップルもあります。
 そんなふたりは「ちょっと、お休みしてみましょうよ」と提案して、じっくり話し合うことです。性の休暇のよさは、一度体験しないとなかなかわからないものです。
 休暇のあとのSEXは、目を見張るほど新鮮です。

SEXに関するズバリの部分

 恋をしていて、適当にSEXを楽しんでいる女性が、いちばん気にしているのがオーガズムです。当然、性に関する疑問、質問もその周辺に集中しています。そこで女性が気になるオーガズムのズバリの部分――。

・オーガズムというのがわからない

 “めくるめくような感動の極致”とか“天国に登るような快感”“これで死んでもいいと思えるような感覚”など、オーバーに表現されるから、混乱もするし、ますますわからなくなってくるのです。
 そなんスゴイのに、私、ソンしているのかしら、カレがヘタなのに違いない、など、あまり人に相談できるような問題でないので、ひとりでモヤモヤ、すっきりしない人が多いようです。

 オーガズムは、もともとギリシャ語の“オルガオ(増幅)”からきた言葉です。
 いちばんのオーガズムポイントき、もちろんセックスの中心ですが、快感の波は全身に広がります。
 性感はもちろん脳で感じるもので、驚いたことに男女問わず、すでに幼児のころからマスターペション・オーガズムがあるといわれます。
 なかには一歳児からあるという報告もあるほどです。男性の射精快感は、女性のオーガズムの延長線上にあるといわれています。

 言葉と風のような愛撫が、快感の扉を開いてくれます。セックスの周辺、耳たぶや脇の下、内股、首筋など、皮膚と粘膜の境の柔らかい部分を触られると、体全体がオーガズムに向かって身ごしらえを始めます。

 ヴァギナの周辺は、数十秒で濡れてきて、男性を迎え入れる準備をします。そうでなければ、女性は痛みに耐えられないでしょう。粘膜の接触なのだから、十分に潤ってないようだったら、さらに愛撫をつづける必要があります。

 膣壁全体から、汗がしたたるように粘液が分泌されてくると、興奮期です。クリトリスが肥大し、ヘアが立ちます。次に平坦期に入ると、大陰唇が膨らみます。直立した小陰唇が開き、ヴァギナの奥も広がってくるのがわかります。

 オーガズム期になると、まず子宮が収縮しはじめ、肛門括約筋も収縮し、ヴァギナのなかは広がったテント状になってきます。消退期。大陰唇の大きさが元に戻り、小陰唇も柔らかくなります。ヴァギナの拡がりも消えて、鎮静します。

 男性はボッキ、インサート、射精で、短時間のうちに興奮が冷めてしまいます。女性の興奮はゆるやかに消えていくので、ここに差が出ることに注目してください。

 相手がどんな好きな男性でも、オーガズムを覚えるにはかなりの経験と時間がかかることを知っておいてください。よく車に例えられるけど、エンジンがフル回転して調子よくなるには、“慣らし運転”が必要だし、寒い時にはエンジンを温めることも必要なのと同じです。

 アメリカなんかでは、ヴァギナトレーニング、オーガズムトレーニングのチャートがあって、気功やヨーガの訓練みたいに、息の吸い方、吐き方、筋肉の使い方の鍛錬などを指導してくれるのです。不感症などとあきらめないで、自習することも大切です。

・イッた振りをしたほうがいい

 女性がオーガズムにただならぬ関心を示すのは、自分が快感を味わいたいという欲求があるのはもちろんですが、そのほかに男の心ない仕打ちによるところも多いようです。
 よく耳にする話ですが、自己中心的な男は、女体のメカニズムもよく知らないくせに、自分の思い通りの反応を女性が示さないとき、
「オマエ、不感症じゃねぇのか」

 心も凍るようなセリフを平気でぶっけるということです。
 そのためオーガズムの学習がすんでいない女性のなかには、メークラブのたびに、イッた振りをしている方もおいでのようです。
 英語ではフェイクといって、女性たちはいろいろな理由からフェイクをなさっているようです。

・まず女として、不感症だと思われるのは耐えられない、
・カレは、その気になれないといつも怒り、「前の女はイッたぞ」なんてなじる。

・イッた振りをすれば、カレが早くイクから。

 というようなわけで、女性もなかなか大変です。
 世の男性は、相手の女性とメークラブして、イカせたことで、オスの満足感を覚える習性があるので、
「イッた?」
「うん、いっぱい」
 女性の立場としては、フェイクしなければならないこともあります。しかし、これは時間が解決してくれます。

あなたがもう少しSEXになれれば。すばらしいオーガズムに身をゆだねることができるはずです。女性がオーガズムを覚えるためには、男性の協力が必要だということを知らないような男は、ほんとうはSEXをする資格もない男なのです。


 あなたの体を開かせるいちばんの方法は、好きなカレの心のこもったやさしい愛撫です。カレがそのことを知っている限り、あなたは心配することはまったくありません。
 オーガズムへの近道は、ゆっくり、やさしく、です。

恋の喜びが美しい女をつくる

 恋についていろいろ書いてきました。過去にもいろいろ書かれています。でも、これだ! というものは見当たりません。
 ウソをかいているというのでなく、本と実体験のあいだに、言葉で埋められない差があるということなのでしょう。
 近いところまではアドバイスしてくれるのだけど、そこから先がイマイチ迫ってこないという隔靴掻痒感、これはあなた自身が体験をベースに考え答えを出す問題です。

 恋の微妙で複雑な部分は、当事者以外は立ち入ることの出来ない領域で、外から訳知り顔に結論を出すのは、かえって話をこじらす結果になりかねません。
 例えば、こんな恋もあります。

 高校時代つき合っていたふたり、雅夫と由美子。初体験は高三の夏休み、慣れないことだったのでうまくいかず、気まずくなって自然に交際が解消してしまいました。


 由美子は東京の大学に進学し、雅夫は地元の大学に進んだので、ふたりが会う機会はなくなったのですが、大学一年の正月から、四年の卒業まで、由美子の元に同じ文面の便りが届いていました。

〈忘れられない女もいる。今年もヨロシク〉と書かれた年賀状を、由美子はまるで気にも止めませんでした。
 美大の造形科を卒業して石油会社の宣伝部に就職した由美子は、付き合いも派手なり、新しい恋人もできたようでした。

 ところがこの男、業界でも有名なプレイボーイで、ウブな由美子をカモにして、飽きるとさっさと去っていったのです。
 死ぬほど落ち込んでいる由美子の胸に、
〈忘れられない女もいる〉
 年一回の雅夫のラブコールが蘇りました。オズオズと取り上げた受話器の向こうで、
「来週東京に出張するから、そのとき、会いたいよ」
 懐かしい雅夫の声が響きました。

 由美子と雅夫の場合、恋のガイドブックがどこまで役に立つかはわかりません。ただ、由美子が恋というもの、男というものをもうちょっと知っていたら、この物語の展開は変わったものになっていたでしょう。


 とはいえ、ガイドブックは恋に関する一番初歩的な部分、例えば――、

・恋とはどんなものか
・男の本性を見分けるには
・恋を上手に楽しむには

というようなことしか解説できません。自動車の免許とおなじで、免許を取った後は自分で運転して、自分で納得できる結論を出すほかにありません。

“恋のほころびはSEXでは修復できない”というようなことを、自分で体験して、覚えていくのです。
 つまらないことでケンカをしたけれど、原因がウヤムヤのまま、体を重ねることで仲直りしてしまった。

 たしかに一時は性の喜びを味わうことで、ケンカの原因など忘れてしまうかもしれません。しかし、こんなことが積み重なったとき、取り返しのつかないことになりがちです。

 病気と同じで、手当てをしようとしたけれど、すでに手遅れだった、SEXで埋めたつもりの溝が、ちっとも埋まっていなかった。つまり、心のすれ違いをSEXで誤魔化そうとしていたわけです。


 このような過ちを犯さないためにはどうしたらよいのでしょう。
 あなた自身一生懸命考えてみてください。そうすることで、あなたは恋を上手に育てていけるようになるのです。
 満ち足りた恋に身をゆだねることで、美しく輝くことができるのです。
 すばらしい恋を満喫して、美しく幸せになることを祈っています。 完
 
著者 水口義明 発行所 有楽出版 2000年7月発行

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