社表

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<愛情による対決>への道

本表紙 ダン・カイリ―女と男の人生相談 近藤 裕訳

ピンクバラ<愛情による対決>への道
ジェリーとアンディーの場合

妻38歳、夫42歳。
愛を決して態度では示さないアンディーは、文句を言うとき以外はジュリーをいつも無視します。
 ジュリーは、いろいろ努力してみても効を奏(そ)しないのは自分のせいだと思っています。
 夫を変えることができるでしょうか?

「夫との関係を続けるためなら何でもします」
というジュリーは、夫のアンディーが自分と同じように考えてくれないのが不満です。
「夫は、“自分が間違ったことはしていない”というんです。だがら、“余計な心配を辞めれば、すべてがうまくいくんだ”って言うのよ」
 ジュリーは、38歳。顔立ちのよい女性です。
その美しい顔も、疲れを漂わせる、せっかくの魅力がさえません。
 彼女の夫の42歳のアンディーは、ジュリーを愛していると口では言っても、決して態度では示さないのです。
 アンディーもジュリーも離婚することは望まないのですが、かといって、二人の関係を改善する努力をするというわけでもないのです。
 アンディーはジュリーに対して批判的ではない時は、無視するといった態度で示してきます。
ですから、ジュリーは、いつも被害者の立場に立たされてしまうのです。

 いろいろとやってみた挙句に、ジュリーは夫との関係を改善できないことを自責の念にかられています。
「カイリー先生、私はそのことにものすごい罪責を感じているんです。まるで、チェルノブイリ原子力発電所の事故は私が起こしたみたいにね」
 というジュリーの言葉から、いかに彼女の自責感が、過大なものであるかを察することができます。

 彼女のこのような過大な自責感は、アンディーを「変えることができる」といった彼女の錯覚に基づくものなのです。
 閉ざされた夫の心を開ける鍵さえ見つければ、私への愛の心を惹き出せるに違いないていった思いの結果でもあるのです。

 というのは、そんなにことはおよそ不可能なことだからです。
 徒労に終わりおわり、失望し、憂うつ感にとらわれるのが関の山です。

 私の所に助けを求めてきた時の彼女は、なすべきことは全て試し、まるでロープの端にぶら下がっているような状態でした。
 かといってまったく諦めてしまったというわけでもありませんでした。

 そこで、私は、年齢よりずっとふけて見えるジュリーに言いました。
「まず、どうしてこんな状態になってしまったのか話してみて下さい」
 目にこみあげてくる涙を抑えながら、ジュリーは語り始めました。
「この前の日曜日に、もう二度とやらないと決めたことをやってしまったのです。
土曜日にアンディーいっしょに、いろんな片付けをしていたんですが、何かにつけて私のやり方に文句をいうのです。
かと、思ったら、私を無視すような態度をとるんです。
そんなことが一日中続きましたわ。彼の機嫌が悪いのはもちろんわかっています。

何が原因なのかは、さっぱり分かりませんでしたの。
そういうときは、私はいつも、彼を刺激するようなことを言ったり、したりしないようにするんですけれど‥‥」

 彼女の眼には涙があふれてくるのが見えました。そこで、ランプの光を落とすと、そのことに礼を述べ、すすり泣きの声で話をつづけました。
「私って、正しいことは何にもできない女なんですね。
家の片付けもきちんとできないし、仕事もそうだし、子どものことだって・・・・。
私って、自分の気持ちをコントロールできないんです。

・・・・アンディーとの関係もだんだんおかしくなっていくし。
何とかしようと思っていろいろやってみるんですけど、やればやるほど状態はわるくなっていくんです」

「分かりました。それで、この前の日曜日に何があったんですか」
「キッチンの壁にどんなウォール・ペーパーがいいか話し合ったんです。古くなったウォール・ペーパーはもう六ヶ月前にはがしてしまったので、早く何とかしたいと思っていたわけ。
“ねえ、調べておくと言っていたから、もう六ヶ月も経てるんだけど。もう、そろそろ決めてもいいじゃない”って。そうしたら、夫は何も答えないばかりか、それからずっとだまりこくってしまったんです。

 彼の機嫌を損ねてしまったことは確かでした。子供たちとは話はするけど、私には口をきかないのね。そうやって私を嫌がらせていたんですよ。
でも、私はできるだけ明るく振る舞っていたんですけど。
 そして、日曜日の朝、気持ちを奮い立たせて、スタートしたんです。楽しい一日にしようと思って。

家の片づけをきちんとやろうって。朝の十時頃だったかしら、私がキッチンにいたら、夫がやってきて、ベッドルームに来ないかっていうの。
私を抱きたいって。ここんところ、そっちの方はあったり、なかったりだったのね。彼を性的に満足させてあげれば、私たちの関係も少しは良くなるかなと思ったものだから、用意したわ」

「ここで、私たちの性生活のことをちょっと話しておきたいんですが・・・・。結婚した当時は、とってもよかったんです。でも、ここ二、三年は、すっかりマンネリ化しちゃったのね。

 ベッド以外では私にキスすることも無くなったし。私を非難する代わりに、もう少しロマンチックな話し方をしてほしいって言ったのね。そう言う時に、彼の心を傷つけないように注意したんですけど。

 こんなことも彼は言いました。“前に、裸でお互いの体を見つめ合ったりしたわね。エロチックなことを話し合ったりしたでしょ”って。
そんな時に、悪く解釈するのね。

だから、私もずいぶん気を遣うようになったんです。そこで私が気を付けている間はよかったのね。
 ・・・・というわけで、この前の日曜日の話なんですけど、夫に誘われベッドルームに入ったとき、いっしょにシャワーを浴びないかって誘ったんですが、彼は嫌だって言ったわ。
 事の結果を申しますと、上手くいかなかったです」

「つまり勃起しなかったという意味ですか?」
「そうなんです」
「それから、どうなったんですか?」
「別に何もなかったように振る舞い、夫のために、熱いチョコレート・ミルクを作ってあげようと思って、キッチンに行ったんです。その時に愕然としたのです」

「なんに驚いたんですか?」
「自分自身のやっていることなんです。流し台の所に立ちすくんでしまって考えていましたわ。
自分の優柔不断な態度に気がつき、たまらなくなったんです。いろんなことを試したけど、上手くいかなかったばかりか、無駄だったことに気がついたのです。

また、こうしようと思ったことを、いざやり始めようとすると、心が変わっちゃうわけ・まるで反対なことを言ったり、したりしてしまうのね。

心を静めようと思って、お祈りしようとしたんですけど、できませんでした。
このままじゃもう駄目になってしまうから、何とかしなきゃと考えていた時に、夫がキッチンに来たんです。

そして、“オレたちはもうロマンチックな気分にはなれなくなったわけか?”って、言うんです。
とたんに、私の心の中に怒りの感情が湧き上がってくるのを感じたんです。そして、怒鳴り返しました。

“いいえ、違います。ロマンティックでなくなったのはあなたなのよ!…私じゃないのよ!”・・・・夫は黙ってキッチンから出て行きました」

「それから、どうなりました?」
「しばらく気分がすっきりしたわ。でも後で、すっかり滅入ってしまったんです。
というのは、はっきり自分の気持ちを夫に言えなかったはよかったですが、その反面、夫に向かってあんな態度を取ったことに対してずいぶん自責の念にかられてしまったんです。

 夫に対して大げさに反応し過ぎたし、そのために夫を傷つけてしまったと思うんです。
 これで、夫は口を利かなくなるに決まっているってね。
 それからしばらく、まるで気が狂ったみたいになっちゃったんです」

「どういうふうに?」
「何も手につかなくて、家中をあっちへ行ったり、来たりして。座ったかと思ったら、赤ん坊みたいに泣き叫びました。
“どうなるかわかんない、どうしていいか分かんない、自分だけではもうどうすることもできない!”って。
 そして、泣き止んで、・・・・また、しばらくして、泣き叫んだりして」

「そんな時に、アンディーはどうしていたんですか?」
「居間に行ってテレビのフットボールのケームを見ていました」
 信じがたいことと思いながら、私は言いました。

「まったく馬鹿げてるということはご存知なんでしょうね」
「どういう意味ですか?」
 と、少々、驚いた顔つきをして尋ね返してきました。
「あなたがやっていらっしゃることが何のよい結果を生み出していないということは明白でしょう。
そこで、別のやり方を試してみる気があるかどうかということですよ」

「たとえば他にどんなやり方が考えられるんですか。私はもっと正常な状態に戻したいんです。教えてください」

 夫を変えることは不可能

 ジュリーは変わることを拒む男と結婚しているのです。
 自分を愛するように夫に仕向ける努力をいくらしても効を奏しません。夫は彼女の努力を嘲けるだけです。
 その結果、彼女は努力したことを後悔し、自分を責めるのです。
 彼女は頭よく、やさしい女性です。しかし、彼女のやさしさや愛情に対して、夫はつらく当たるので、自分が馬鹿に見えてくるというわけです。

「夫が変わらない場合はどうしたらいいんですか?」と、
ジュリーと同じように問われる女性はきっと多いことでしょう。
と言っても、ジュリーとアンディーのケースほど深刻はないかもしれません。
 そうであれば幸いです。
だからと言って、この本があなたの役に立たないというわけではありません。あなたの夫が基本的にはやさしい人であっても、ある部分では頑固で、変わることを絶対にしない人であるならば、きっとこの本から何かを得られるに違いないと思います。
すぐに役立つか何かを。

 まず、結婚の相手が、変わることを拒む男であれば、その夫かがやっていることはだいたい次のような事だと思います。

・自分の欲求不満(フラストレーション)を妻にぶつけている。
・妻の気になることに対して無関心である。
・女性は〈男らしい・マッチョ〉タイプを好むと信じている。
・妻のニーズに応える心の構えを持っていない。
・自分の過ちを認めることを拒む。
・妻の存在や、妻の愛情を当然のことと考えている。
・自分の気持ちを多く語らない。

 ここで断っておきますが、私は、<完全な男>〈完全な結婚〉を求めることを主張しているのではありません。

 私が言いたいのは、気ままなでない夫、妻の気苦労に関心を示してくれない夫、自分の弱点を隠さない夫、自分の我を通すことや経済的な理由を立てに妻の愛情の表現を怠らない夫、そして、妻が必要としていることに応えてくれる夫、そんな夫を求めるは少しも間違っていないということです。

 別な言い方をしますと、行動によって妻への愛情を示せるような夫であることを望むのは当然だということです。

変わることを拒む夫から身を引かない理由を尋ねますと、ほとんどの女性は、離婚することを考えていることはあるが、いろいろな理由から離婚を思いとどまっていると言います。
 かつての〈良き日〉の思い出を捨てられないというのが、その理由であるかもしれません。経済的な理由から離婚できないのかもしれません。
 離婚した後の生活が必ずしも良くなるとは思えないからかもしれません。と同時に、

 こんな理由による場合もあるでしょう。夫はほんとうは私を愛したいのだから、愛せるように夫を変えなきゃならないし、そうすることが私の務めなの、といった信念にとらわれているために。
 実は、このように話す女性に私は多く出会いました。

 しかし、夫を変えるなどということはおよそ不可能なことなのです。
 これまでに多くの妻たちがやってみましたが駄目でした。一般的にいって、通常の状況においては、一人の人間が、どんなにパワフルな人であっても、他の人間の基本的な人生態度を変えさせるなどということはできないのです。

 もちろん、例外はあります。たとえば、戦争による捕虜や、信仰集団の虜になった人たちが洗脳によって世界観や、人生観が変わるという例外はあります。

 しかし、そのような場合でも、生活をコントロールする環境が変わると、人間の自主的な判断力が回復するということが、そのような捕虜や信者たちが解放された後の調査研究によって明らかにされています。

 つまり、夫に言わせたいことを強制して言わせ得たとしても、夫の心はやがて変わってしまうという事実に気がつくことが必要なのです。
 妻が求める通りには夫は変わらないばかりか、変わることを強制されることに対して報復するに違いないのです。

 一つの比喩で説明しましょう。

 たとえば、夫との関係は、ちょっとトランプでゲームをやっているようなものでしょう。あなたとあなたの夫の手にあるカードは、配られて与えられたものですから、その手は変えられないわけです。
 そして、その手にしているカードを使ってどのようなプレイするかを決めることしかできないわけです。

 これと同じように、夫が持っている遺伝によって与えられたものや、成育歴による影響を変えることは、あなたには出来ないわけです。
 夫を変えようとすることは、ちょうど、テーブルの向こうの夫の手の中にあるカードに、あなたが手を伸ばし、どのカードを選ぶか夫に強いるのと同じなのです。

 もし誰かがそんなことをあなたに対してしたとしたら、あなたはきっと、その人の手を払いのけるに違いありません。
 あなたの夫も、きっと同じことをすると考えられませんか?

 自分の思う通りに事が運ばない状態になり、イライラしてくると、多くの女性は、相手の夫が手にしているカードをコントロールしようとしてしまうのです。

 ジュリーはまさにそのようなことをしようとしたわけです。
 ジュリーは自分がものすごく惨めに感じた時に、自分に対して夫がつらく当たるのは自分が悪いからだと思ったのです。
気分が滅入り、パニック状態にあったジュリーは、夫が手にしているカードを自分で操るしかないと信じ込んでしまったというわけです。

では、夫が変わらない場合に、どうしたらよいのでしょう。
 まず、夫が自分で自分を変えるために必要なカードを選ぶ(または選ぶ)ように、あなたが手にしているカードで、頭を使って最善の方法でプレイすることです。

 つまり、夫が変わることができるための踏み台になるように行動すればよいのです。
 夫の変化を刺激はしても、あなたが夫の変化をもたらすことはできないのです。

では、どのようなことをするのか、もう少し、具体的に話をしましょう。
まず、言語的、非言語的手段によって、あなたは対する夫のプレイの仕方に対決すればよいのです。
あなたが欲しくないカードは無視するか、捨てればよいのです。
あるいは、夫がどんなプレイの仕方をしているかを告げたらどうでしょう。
時には、こんなやり方ではプレイできないと主張することです。そして、あなたが、どんなプレイの仕方をする場合でも、夫に対して、愛情と支援的態度をもって接することが大切です。

そうすれば、たとえ、夫がつらく当たるという仕返しをしたとしても、自分の行為に対して後ろめたさを感じなくてすむというわけです。
また、夫の相手になるのを止めたとしても、そのことに罪責感を抱えなくてもすむのではないでしょうか。

このように、夫の行動によい影響を与える目的を持って、よく考えたうえで自分の行動を選ぶということが、〈夫が変わらない〉状況での最善の策だと思います。

 そこで、私は、アンディーに対する思いやりに満ちた対決をジュリーに教えました。
 こうして、結婚生活を改善するチャンスを高めるために、どんな態度や行動が必要であるかを学んだのです。

 つまり、情報を伝えること、葛藤の解決の技術(スキル)、問題の説明の方法、破壊的な言葉のやり取りを避ける方法、心を傷つける行動に反する対応の方法などに関するノウ・ハウ《いつ、何を、何処で、どのようにするかなど》を学んだのです。

あなたが変わったことに夫が気がつき

 変わらない夫に対する対応の仕方を決めるには、そんな難しいことではないのです。まず、あなたが変わったことに夫が気がつき、「いったい、どうしたんだ」と尋ねてきたときに、自分の行動について夫に説明するといったやり方は、夫の態度や行動に影響を与える方法としては大変効果があります。

 さて私は、ジュリーとの最初の面会の終わりに、一つの宿題を与えました。
 まず、自分を受容し、夫に対してつらく当たる態度をコントロールすることなどに役立つプログラムの練習をするようにすすめたのです。

 というのは、このプログラムが、募っているストレスの海将、心の落ち着きを取り戻すのに役立つことは、これまでの研究や私の経験によって実証隅の事です。
 さらに、ジュリーは、これから、夫との関係を改善するのに必要な愛情による対決の方法を学ぶことになるのです。

 =差し込み文書=
 これまで読んであなたは著者が何を伝えようとしているか理解できましたか? 平たく言えば多分こういうことかと思います。
 夫アンディーは、マンネリ化した性生活では刺激に乏しく、連続して勃起がつづかなく、何度か途中で下書記載のようなことがたびたびあったと思われ、妻を無視するような態度や、辛く当たるのは、性の不一致、性欲の欲望を充たされないことからイライラしたり、怒りをぶつける。そのようなことが原因の一つであることは間違いない!

つまり、妻のジュリーも行為中に冷めたムードになり愛液が潤沢に溢れないことから膣内がぱさぱさになり性行為となるものが、白々しい虚しいものになってしまった。
 そして、途中でアンディーは勃起不全となってしまったことにより、セックスレス・セックスレス夫婦の状態に陥っている。
当然ながら、勃起不全になり役立てない男としてショックを受けているのでは?
 何か強い刺激を感じることで以前のように性生活をとり戻せるのではとアンディーは、思っているのです。
これと似かよった実話の例を紹介します。「こんなセックスもあたんや!」ソフトノーブル通販。

 つづく セルフ・マネジメントの心理学